院長 平竜三のブログ診察室では伝え切れない、詳しい医療情報を語ります

世界的にも高い日本人男性の喫煙率・女性は増加傾向

  • 2008.12.16

 最近になってようやく日本でも禁煙に対する取り組みが広がってきました。

歩きタバコに対する罰金制度や、未成年喫煙防止対策であるタスポの導入、東京都内のタクシー禁煙など、行政や社会としてタバコ規制が始まってきましたが、世界的にみると日本はまだまだ甘いといえます。

 経済協力開発機構(OECD)発表の「ヘルスデータ2007」で喫煙率(男性)を比較してみると、高い順に、トルコ:51.1%、韓国:46.6%、ギリシャ:46.0%、日本:41.3%、オーストリア:40.7%、メキシコ:39.1%、ハンガリー:36.9%、オランダ:35.0%、スペイン:34.2%、ポーランド:33.9%、スイス:31.0%、ドイツ:29.8%、チェコ:29.6%、イタリア:29.2%、デンマーク:29.0%、フランス:28.0%……となっています。

タバコの害が社会的に広く認識されている、アメリカ、カナダでは更に低く、アメリカ19.1%、カナダも19.1%まで減少しています。

 1965年ころの日本人男性は、なんと8割以上が喫煙者でした。吸うのが当たり前だったのです。しかし、その後は減少傾向が続き、最新の調査によると、日本人男性の喫煙者数は約2016万人、男性人口の40.2%です。女性は684万人の12.7%でした。

 男性喫煙率は減少傾向にあるとはいえ、タバコの害が社会的に広く認知されているアメリカやイギリスなどの先進国は約20%ですから、その2倍という高い喫煙率です。先進国の中で、日本人男性の喫煙率はトップの高さが続いています。一般的に日本人男性の喫煙率の高さに関しては、決して「先進国」と胸を張って誇れない、恥ずかしい数字です。

 気になるのは女性の喫煙率で、40歳以上女性の喫煙率は減少傾向にあるにもかかわらず、20歳代・30歳代女性の喫煙率は上昇しており、全体的に女性の喫煙率はわずかながら増加していることです。将来の日本人女性の健康が心配です。女性は男性の比べてタバコに対する抵抗力が弱く、余計に健康被害を受けやすいので、絶対に避けるべきです。女性とタバコに関してはまた後に詳しく述べたいと思います。

 喫煙習慣は一度ついたらなかなか抜けないので、喫煙率を下げるには吸い始めを食い止めることが最も重要でしょう。喫煙者は20歳前後の学生のときから喫煙を開始していることがほとんどなので、学生や新社会人の時に開始しようという気持ちにさせないことが、喫煙率の抑制のために力を入れるべきポイントと考えます。

 次回は、どうして吸い始めるのか、どうすれば吸い始めずに済むのか、考えてみたいと思います。

……続く

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