2008年11月記事リスト

最近急に日々、冷え込んできましたね。インフルエンザのワクチン接種はもうお済みですか?

今日は妊婦さんに是非読んでいただきたい話です。

今妊娠中でお腹が大きく、年末から春先にかけてご出産の予定のご婦人の方、楽しみですね。

ですが、これから益々寒くなり、インフルエンザの流行の季節に入ります。

生まれたての赤ちゃんがインフルエンザにかかったら大変です。一般的に、生まれたての乳児は、母体から様々な免疫抗体を受け継いでいることと、母乳に含まれる抗体などで感染にかかりにくいようです。しかし決して感染しないというわけではありません。

では、乳幼児にもワクチンを接種した方が良いのでしょうか?

それにはちょっと問題があります。

1歳から6歳の幼児ではワクチンには約30%程度の発病阻止効果があり、小児科の先生と相談して、必要と考えられれば接種すると良いでしょう。

しかし、1歳未満の乳児ではワクチンの効果は確認されておらず、特に生後6ヶ月未満ではワクチン接種 は許可されていませんが、もし6ヶ月未満の乳児がインフルエンザにかかると重症化して入院する率が極めて高く、その入院率は高齢者よりも高いことが解りました。

では、生まれたてから6ヶ月未満の赤ちゃんを怖いインフルエンザから守る有効な手段はなんでしょうか?

それに関して、最近非常に有益な論文報告がありました。

アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部(ボルティモア)国際保健学科、マーク・スタインホフ教授らの研究によりますと、母親が妊娠中に予防接種を受けておけば出生した乳児もインフルエンザにかかりにくくなるとのこと。

研究グループは、バングラデシュで340人の妊婦を調査しました。そのうち、ランダムに172人にインフルエンザワクチンを接種し、168人に対照として肺炎球菌ワクチンを接種して6ヶ月間追跡調査しました。

その結果、インフルエンザワクチン群の母親から生まれた乳児では、肺炎球菌ワクチン群の母親からの乳児に比べてインフルエンザにかかった率が63%も低く、重度の呼吸器疾患を合併した率も母子ともに低かったのです。

妊婦さんは、ご自分と生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠中にインフルエンザワクチンを打っておく方が良いようです。ワクチンは是非11月中に済ませておいてください。

(インフルエンザワクチンは胎児に影響を与えるとは考えられていません。また、妊婦が特にワクチンで重篤な副反応・副作用を及ぼすことはありません。しかし、安全を期して妊娠13週を過ぎてからの接種が推奨されます。)

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「新型インフルエンザ」、つまりヒトからヒトへの感染力を獲得したトリインフルエンザ(A型院インフルエンザH5N1亜型ウィルス)が発生した場合には、非常に高い死亡率も持つため、世界的な流行(パンデミック)になれば、全世界で1億人規模の死者が出る可能性も指摘されています(American Scientist 91: 122-129, 2003)。

厚生労働省の試算によると、世界流行が発生した場合にはわが国でも最大2500万人が医療機関を受診し、64万人程度が死亡すると予測しています。

インフルエンザの場合注意が必要なのは、決して普段体力の弱っている病人やお年寄りだけではなく、普段比較的体力のある若者でも重症化したり死亡する率が高いという点です。

パンデミックを阻止するには、迅速確実な診断・隔離などが必要になりますが、早い時期に新型インフルエンザに対するワクチンの接種が求められます。

流行阻止のカギはワクチン完成までの時間です。

何も準備していないと、ワクチン開発スタートから完成までに3年もかかってしまうのです。

新型インフルエンザの流行に備えて、2006年から試作ワクチンが作られています。

新型インフルエンザは、トリ・インフルエンザH5N1亜型ウィルスがヒト→ヒト感染できる遺伝子に変異したものです。今のところ、トリ・インフルエンザウィルスはヒト→ヒト感染力がないウィルスですが、ヒト→ヒト感染に変異したとしても、基本構造はH5N1型ですので、類似のワクチンは変異型にもある程度の感染免疫を発揮すると考えられます。

これから開発する「試作ワクチン」はH5N1亜型トリインフルエンザが新型になったと想定し、ベトナムの患者から分離したトリインフルエンザウイルスが使用されています。

事前にワクチンの製造法を確立して承認を得ておけば、人から人への感染力を持つ新型H5N1インフルエンザが出現したときに、その新しいウイルスと差し替えてワクチンを作れます。ウイルスの型は同じH5N1なので、臨床試験などを省略して製造できるメリットがあります。

何も準備していない場合、ワクチンの開発から製造まで最低でも3年もかかってしまいますが、今回の取り組みにより、新型インフルエンザ発生時に最短で1年弱で製造にこぎつけられ、大幅にスピードアップできるため流行の阻止に役立つと期待されます。

今のところ、ヒト⇒ヒト感染のH5N1インフルエンザは出ていませんが、トリ⇒ヒト感染は散発しています。

最大の発生地は主に東南アジアです。2006年統計でのトリ・インフルエンザ国別感染確認数は、ベトナム:93人、インドネシア:69人、タイ:25人、中国:21人、エジプト:15人、トルコ:12人、アゼルバイジャン:8人、カンボジア:6人、......となっています。ベトナムは最近日本でも観光人気の高い国ですが、流行時期、すなわち、年末から春先までは、避けた方がよろしいのではないかと考えられます。

感染予防には、とにかく正しい情報をすばやく入手して、実際に手を打つ。それが大切です。

次回は、妊婦と乳児のためのインフルエンザ最新情報をお伝えします。

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こんにちは。院長の平です。

今年はインフルエンザ対策に社会的関心が高いせいか、当院でも10月末までに約500人の方が予約され、その多くは既にワクチン接種を済まされました。

先日、10月30日の当院メールマガジンでもお伝えいたしましたが、最近ではタミフルに耐性を持つウィルスも西日本から広がりつつあります。インフルエンザにかかってからの治療では、かなり厳しいと予想されるため、感染しないための予防対策が益々重要になってきています。予防対策に大切なのは、何度もしつこいようですが、手洗い・うがい・保温・保湿・マスク・体力保持・栄養補給・休養・睡眠、それにワクチン接種ですね!!

ところが、ワクチン接種でも安心できない事態が危惧されています。

それは、いわゆる「新型インフルエンザ」の世界流行、すなわち「パンデミック」(Pandemic)の可能性です。

インフルエンザウィルスは次々と変異を繰り返すので、厳密な意味では毎年少しずつ「新型」となっているのですが、今、世界的パニックとなる恐れがある本当の意味での「新型」インフルエンザとは、
ヒトからヒトへの強い感染力を持った、「鳥インフルエンザ」の変異ウィルス
を指しています。

東南アジアでは、ニワトリなどからヒトへの感染は発生しており、中でもインドネシアでは多数のトリ・インフルエンザ(Avian Influenza)の発症が報告され、インドネシアの保健省から詳しく報告されました。

その研究報告によると、トリ・インフルエンザに感染した患者のなんと81%が死亡したといいます。驚くべき致死率です!

トリからヒトに感染するトリ・インフルエンザは「H5N1亜型ウィルス」とされます。

2005年から2008年の間、インドネシアでH5N1亜型ウィルス感染と診断された127例のうち、死亡したのは103例にも達しました。これは81%もの高い確率で死亡したことになります。

患者ごとの経過を調べると、発症から2日未満の早期にタミフルの内服を開始した人の方が、それより治療が遅れた人よりも生存率が高かったことがわかりました。

タミフルはトリインフルエンザに対して有効ではありますが、確実に救命できるとは言えません。

死亡率を下げ、治りやすくなる効果は発揮しますが、トリ・インフルエンザはかかってしまうと、死の可能性が高い恐ろしい感染症です。発症から2~4日でタミフル治療を開始された人でも、64%が亡くなりました。

H5N1亜型ウィルス(トリ・インフルエンザ)は、今のところはヒトからヒトへの感染力はほとんどないと考えられています。しかし、インフルエンザウィルスは元々非常に高い頻度で突然変異(ウィルス遺伝子の組み換え)が起こるので、トリからヒトへの感染数が増えれば、その中にヒトからヒトへの感染力を獲得したウィルス(すなわち、「新型インフルエンザ」)が発生する可能性は高いと予測されています。

続く

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前々回からのCT装置に関するこぼれ話をお届けします。

診療には関係ありませんが、今日の話を読むと小豆沢整形外科の「通」になれるかもしれません。

今では毎日患者様の診断に活躍しているこのCT装置。実際に見た方はお分かりですが、5階奥の部屋の大部分を占める大掛かりな機械です。どうやってビルの5階まで運んだと思いますか?

当然、部品に分けて運び入れて部屋の中で組み立てるのですが、土台となる金属や、中で回転するリング状のレントゲン発生器などの主要部品は一つで数百kgにもなる巨大な金属骨格でできているため、エレベータや階段では運び上げられません。

医院開院前の内装工事が最終段階に近づいた2005年6月後半のある日の深夜、小豆沢通り、医院前道路の片側1斜線を封鎖する格好で大型の工事用クレーン車が止まりました。医療器械運搬用の大型トラックが運んできたCTの重量部品を、クレーンで吊るし上げ、CT室の窓を通して慎重に運び入れられました。窓は大型部品が通るにはやっとの大きさ。搬入作業は危険を伴う難工事でした。20人近くの専門作業員の方が、深夜から明け方近くまでかけて、大変な作業を無事完遂していただきました。

その後、翌日から比較的細かい部品はエレベータや階段を通して何十回にも分けて運び上げられ、実に数百点の部品が約1週間かけて組み立てられ、6月末に完成しました。作業員の方の工程を時々見に行きましたが、専門家とはいえ、その手際の良さには感心しました。

その後に窓は塞がれて壁に作り直され、放射線遮蔽の鉛の板も張られました。

ちなみに、当院が入っているビルは、非常に頑丈でしっかりとした作り。耐震性も非常に高くなっています。ビルを建てたオーナー様は医療ビルに関して造詣が深く、重量物の設置や配線工事がしやすい設計をしていただいていました。5階という高所でも十分な強度のあるビルであったこともCTを設置できた大きな理由のひとつです。

多くの人々のご尽力で無事CTは当院に入り、大きな故障もなく毎日診断に力を発揮し大活躍しています。

もし、当院でCT検査を受けられることがありましたら、設置工事の様子を想像してみられてはいかがでしょうか?

当院のCTに関する話題はこれで一旦終わりです。

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前号からの続きです。

さて、医院開設前の予算ギリギリまで使ってCT導入を決めましたが、次は機種の選定です。

開業準備の2005年3月、私はクリニックビルのオーナー様とのテナント契約を済ませ、内装工事の設計を建設業者さんと確認しつつ、CT機種の最終選定をしていました。

当院では大病院にあるような最高機種のCT の設置は無理です。専門的にいいますと、例えば「32列マルチスライスCT」などではありません。(ちなみに今年は東芝から320列マルチスライス高速CTも発売されています)。このような上位機種になると「億」の価格になり、駆け出しの個人開業医の私では手が届きません。

当院で導入可能なのは標準的なシングルスライス・ヘリカルCTまででした。しかし私は整形外科医としてのこだわりがありました。こだわり、とは何かというと、細かい組織を判別できる能力です。

多くの標準的CTでは、解剖学的解像度が直径3mm程度です。つまり体の組織の3mmの大きさのものまで判別できる、あるいは3mmの差が解る、ということです。

大きな組織の撮影では解像度3mmの画像でも十分わかりますが、手指などの小さい骨の骨折の診断の時にはもっと細かい解像度が欲しいことがあります。そのため、当院のCTは解像度1mmまで性能を上げた一段高額な装置を設置しました。今ではこの判断は正しかったと思っています。

実際、当院の診療では通常のレントゲン写真だけではわからない微妙な骨折が、解像度の細かいCTで見つかったり、あるいは逆にレントゲンでは骨折かと思われた骨の縞状の影が、CTで確認すると骨の変形で骨折ではなかったという例もありました。

骨折は早く診断できないと、痛みで長く苦しんだり、治りにくくなるので、迅速な診断は非常に大切な要素です。大きく難しい骨折などで他の大きな専門病院にご紹介させていただくこともありますが、極力その場で診断と治療ができれば、患者様には大きなメリットがあります。

CTは骨折だけではなく慢性の脊椎疾患の診断にも非常に役立ちます。たとえば腰椎の椎間板ヘルニアですが、精密な診断にはMRIを使用しますが、CTでも熟練レントゲン技師の操作によって相当に判別できます。CTは通常、人体を横切り(輪切り)にした画像しか出ませんが、当院では画像処理ソフトウェアの工夫とレントゲン技師の能力によって縦切り画像も速やかに写し出せるようになっていますので、脊椎疾患の評価にも活躍しています。

一方、MRIは非常に優れた診断機械ですが、検査時間が20~30分程度とやや長くその間全く動いてはいけませんし、狭いところで大きな騒音に耐えなければならず、検査を受ける患者様の精神的・肉体的苦痛はかなりのものです。それに比べて今のCTは実際の撮影時間は長くて4~5分。部位によっては1分程度で撮れますし、機械の奥行きが浅いので圧迫感や閉塞感がなく、検査時の患者さんの精神的負担が非常に少ないのがメリットです。

なお、気になる放射線被爆ですが、当院のCTでは極力放射線被爆が少なくて済む技術が導入されています。また、通常のCT検査レベルでは、健康を害することは統計的にも全くないことが判っています。

放射線の健康への影響については、また後日改めて述べたいと思います。

次回は、CT設置工事のときの話です。

続く

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