小豆沢整形外科 裏話 CT設置まで(2)

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前号からの続きです。

さて、医院開設前の予算ギリギリまで使ってCT導入を決めましたが、次は機種の選定です。

開業準備の2005年3月、私はクリニックビルのオーナー様とのテナント契約を済ませ、内装工事の設計を建設業者さんと確認しつつ、CT機種の最終選定をしていました。

当院では大病院にあるような最高機種のCT の設置は無理です。専門的にいいますと、例えば「32列マルチスライスCT」などではありません。(ちなみに今年は東芝から320列マルチスライス高速CTも発売されています)。このような上位機種になると「億」の価格になり、駆け出しの個人開業医の私では手が届きません。

当院で導入可能なのは標準的なシングルスライス・ヘリカルCTまででした。しかし私は整形外科医としてのこだわりがありました。こだわり、とは何かというと、細かい組織を判別できる能力です。

多くの標準的CTでは、解剖学的解像度が直径3mm程度です。つまり体の組織の3mmの大きさのものまで判別できる、あるいは3mmの差が解る、ということです。

大きな組織の撮影では解像度3mmの画像でも十分わかりますが、手指などの小さい骨の骨折の診断の時にはもっと細かい解像度が欲しいことがあります。そのため、当院のCTは解像度1mmまで性能を上げた一段高額な装置を設置しました。今ではこの判断は正しかったと思っています。

実際、当院の診療では通常のレントゲン写真だけではわからない微妙な骨折が、解像度の細かいCTで見つかったり、あるいは逆にレントゲンでは骨折かと思われた骨の縞状の影が、CTで確認すると骨の変形で骨折ではなかったという例もありました。

骨折は早く診断できないと、痛みで長く苦しんだり、治りにくくなるので、迅速な診断は非常に大切な要素です。大きく難しい骨折などで他の大きな専門病院にご紹介させていただくこともありますが、極力その場で診断と治療ができれば、患者様には大きなメリットがあります。

CTは骨折だけではなく慢性の脊椎疾患の診断にも非常に役立ちます。たとえば腰椎の椎間板ヘルニアですが、精密な診断にはMRIを使用しますが、CTでも熟練レントゲン技師の操作によって相当に判別できます。CTは通常、人体を横切り(輪切り)にした画像しか出ませんが、当院では画像処理ソフトウェアの工夫とレントゲン技師の能力によって縦切り画像も速やかに写し出せるようになっていますので、脊椎疾患の評価にも活躍しています。

一方、MRIは非常に優れた診断機械ですが、検査時間が20~30分程度とやや長くその間全く動いてはいけませんし、狭いところで大きな騒音に耐えなければならず、検査を受ける患者様の精神的・肉体的苦痛はかなりのものです。それに比べて今のCTは実際の撮影時間は長くて4~5分。部位によっては1分程度で撮れますし、機械の奥行きが浅いので圧迫感や閉塞感がなく、検査時の患者さんの精神的負担が非常に少ないのがメリットです。

なお、気になる放射線被爆ですが、当院のCTでは極力放射線被爆が少なくて済む技術が導入されています。また、通常のCT検査レベルでは、健康を害することは統計的にも全くないことが判っています。

放射線の健康への影響については、また後日改めて述べたいと思います。

次回は、CT設置工事のときの話です。

続く

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