小豆沢整形外科 裏話: 2008年11月記事リスト

前々回からのCT装置に関するこぼれ話をお届けします。

診療には関係ありませんが、今日の話を読むと小豆沢整形外科の「通」になれるかもしれません。

今では毎日患者様の診断に活躍しているこのCT装置。実際に見た方はお分かりですが、5階奥の部屋の大部分を占める大掛かりな機械です。どうやってビルの5階まで運んだと思いますか?

当然、部品に分けて運び入れて部屋の中で組み立てるのですが、土台となる金属や、中で回転するリング状のレントゲン発生器などの主要部品は一つで数百kgにもなる巨大な金属骨格でできているため、エレベータや階段では運び上げられません。

医院開院前の内装工事が最終段階に近づいた2005年6月後半のある日の深夜、小豆沢通り、医院前道路の片側1斜線を封鎖する格好で大型の工事用クレーン車が止まりました。医療器械運搬用の大型トラックが運んできたCTの重量部品を、クレーンで吊るし上げ、CT室の窓を通して慎重に運び入れられました。窓は大型部品が通るにはやっとの大きさ。搬入作業は危険を伴う難工事でした。20人近くの専門作業員の方が、深夜から明け方近くまでかけて、大変な作業を無事完遂していただきました。

その後、翌日から比較的細かい部品はエレベータや階段を通して何十回にも分けて運び上げられ、実に数百点の部品が約1週間かけて組み立てられ、6月末に完成しました。作業員の方の工程を時々見に行きましたが、専門家とはいえ、その手際の良さには感心しました。

その後に窓は塞がれて壁に作り直され、放射線遮蔽の鉛の板も張られました。

ちなみに、当院が入っているビルは、非常に頑丈でしっかりとした作り。耐震性も非常に高くなっています。ビルを建てたオーナー様は医療ビルに関して造詣が深く、重量物の設置や配線工事がしやすい設計をしていただいていました。5階という高所でも十分な強度のあるビルであったこともCTを設置できた大きな理由のひとつです。

多くの人々のご尽力で無事CTは当院に入り、大きな故障もなく毎日診断に力を発揮し大活躍しています。

もし、当院でCT検査を受けられることがありましたら、設置工事の様子を想像してみられてはいかがでしょうか?

当院のCTに関する話題はこれで一旦終わりです。

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前号からの続きです。

さて、医院開設前の予算ギリギリまで使ってCT導入を決めましたが、次は機種の選定です。

開業準備の2005年3月、私はクリニックビルのオーナー様とのテナント契約を済ませ、内装工事の設計を建設業者さんと確認しつつ、CT機種の最終選定をしていました。

当院では大病院にあるような最高機種のCT の設置は無理です。専門的にいいますと、例えば「32列マルチスライスCT」などではありません。(ちなみに今年は東芝から320列マルチスライス高速CTも発売されています)。このような上位機種になると「億」の価格になり、駆け出しの個人開業医の私では手が届きません。

当院で導入可能なのは標準的なシングルスライス・ヘリカルCTまででした。しかし私は整形外科医としてのこだわりがありました。こだわり、とは何かというと、細かい組織を判別できる能力です。

多くの標準的CTでは、解剖学的解像度が直径3mm程度です。つまり体の組織の3mmの大きさのものまで判別できる、あるいは3mmの差が解る、ということです。

大きな組織の撮影では解像度3mmの画像でも十分わかりますが、手指などの小さい骨の骨折の診断の時にはもっと細かい解像度が欲しいことがあります。そのため、当院のCTは解像度1mmまで性能を上げた一段高額な装置を設置しました。今ではこの判断は正しかったと思っています。

実際、当院の診療では通常のレントゲン写真だけではわからない微妙な骨折が、解像度の細かいCTで見つかったり、あるいは逆にレントゲンでは骨折かと思われた骨の縞状の影が、CTで確認すると骨の変形で骨折ではなかったという例もありました。

骨折は早く診断できないと、痛みで長く苦しんだり、治りにくくなるので、迅速な診断は非常に大切な要素です。大きく難しい骨折などで他の大きな専門病院にご紹介させていただくこともありますが、極力その場で診断と治療ができれば、患者様には大きなメリットがあります。

CTは骨折だけではなく慢性の脊椎疾患の診断にも非常に役立ちます。たとえば腰椎の椎間板ヘルニアですが、精密な診断にはMRIを使用しますが、CTでも熟練レントゲン技師の操作によって相当に判別できます。CTは通常、人体を横切り(輪切り)にした画像しか出ませんが、当院では画像処理ソフトウェアの工夫とレントゲン技師の能力によって縦切り画像も速やかに写し出せるようになっていますので、脊椎疾患の評価にも活躍しています。

一方、MRIは非常に優れた診断機械ですが、検査時間が20~30分程度とやや長くその間全く動いてはいけませんし、狭いところで大きな騒音に耐えなければならず、検査を受ける患者様の精神的・肉体的苦痛はかなりのものです。それに比べて今のCTは実際の撮影時間は長くて4~5分。部位によっては1分程度で撮れますし、機械の奥行きが浅いので圧迫感や閉塞感がなく、検査時の患者さんの精神的負担が非常に少ないのがメリットです。

なお、気になる放射線被爆ですが、当院のCTでは極力放射線被爆が少なくて済む技術が導入されています。また、通常のCT検査レベルでは、健康を害することは統計的にも全くないことが判っています。

放射線の健康への影響については、また後日改めて述べたいと思います。

次回は、CT設置工事のときの話です。

続く

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