交通事故: 2009年4月記事リスト

交通事故で頚椎捻挫(ムチウチ)や腰部捻挫などの傷害を受けて病院を受診した被害者の方は、なぜしばしば医師から冷たく扱われ、多くの場合、適切な治療を受けられず半ば放り投げられてしまうのか?

このブログではそのからくりを、交通事故診療の特殊性と、あまり知られていない医師の仕事の裏側を暴露しながら詳しく探っていきます。私は医師としての同業批判をしたいのではなく、現状の制度的な問題をこのブログで提起したいと思うので、敢えて書くことにしました。

不幸にして交通事故被害に遭われた方は、このブログを読んでいただければ適切な病院探しと効果的治療、それに適切な補償の獲得に役立つかもしれません。

生死に関る大事故で救急車で運ばれ、救急病院のICUに緊急入院させられたような場合を除き、痛いながらも自力で通院できる程度の交通事故被害患者さんを主な対象として話を進めますので、ご了承下さい。

歓迎されない理由(1):治療見通しが立てにくい

交通事故での怪我で最も多い状態は、いわゆる「ムチウチ症(鞭打ち症)」、あるいは頚椎捻挫といわれる状態です。

受傷後から後頭部、うなじ、肩の上部から背中付近にかけて、苦しい痛みや、コリ・ハリなどと表現される重苦しさが続き、時には、吐き気やめまい、頭痛、耳鳴り、抑うつ、などを伴い、ひどい場合には仕事を続けられないこともあります。

その症状の重さの程度は様々で、軽い人は本当に1~2週間で気にならなくなりますが、ひどい場合には、上記のような様々な症状を伴いながら、半年以上も強い症状に悩まされることもあります。中には3年以上も慢性痛で苦む方もおられます。

頚椎捻挫の症状の重い例では、自律神経の異常や精神・感情状態の不調を伴い、「頚椎」だけでとどまらないので「外傷性頚部症候群」とも表現されます。

「頚椎捻挫」という言葉は、どうも「首の寝違え」や、「ちょっとひねった」程度で、「放っておけば自然に治る」ようなイメージをもたらす傾向があるので、適切ではないと思われます。

何百人という交通事故の患者さんの臨床に直接携わってきた私の経験では、2~3週で治癒する人はむしろ幸運な少数派であるのが事実です。交通事故での頚椎捻挫は、意外と症状が長引くことが多いのです。

では、短期間で治る人と、長引く人を分けるものは何でしょうか?

症状残存の長さを決める要因としては、事故で受けた機械的衝撃力の程度、事故後の治療の質と量、精神的ストレスの程度、それに仕事による心身の負担などが重要です。そして、これらが複雑に絡み合うことで、同じ「頚椎捻挫」の診断がついた事故被害者でも様々に治療期間が異なってきます。

ですから、初診時では治療期間の見通しが立てにくいのです。

このことは、多くの外来担当医師が交通事故被害患者の診療を負担に感じる一つの理由です。

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お気の毒にも追突事故などの被害に遭われ、首や腰の痛みを生じた方は、近くの病院(主に整形外科)を受診されたと思います。 怪我の治療はまずは整形外科でしょうから、ちゃんと診てくれると思いますよね? ふつー。

けれど行ってみると実際は、医者は「交通事故」というだけでろくに診察もしてくれず、軽く扱われたり、冷たくあしらわれたりされませんでしたか?

「シップを貼って休んで」くらいしか言われずに、他に何も治療もされず放置されてしまった感じはありませんでしたか?

自分は治したい意欲があり、色々と詳しく症状を訴えているのに、きちんと診てくれない......。

そんな印象もちませんでしたか?

それだけに留まらず、ドクハラとも受け取れるきつい言葉を医師から言われた辛い経験をお持ちの方も多いようです。

例えば、
「被害者意識ばかり強い人はそうやって大げさに語るんだよ。」(本当のこと言ってるのに......)
「レントゲンでもMRIでも、どこも壊れてないんだから、痛いはずがない。」(でも痛いんです)
「痛いのは気のせい。早く事故のことを忘れて仕事しなさい。」(仕事行ったら激化したんですが......)
「もう治っているはずの時期なので治療は終了とします。」(まだまだ痛みが激しいのに!)
「ほんとに痛いんですか? 仕事休みたいからそう言っているだけなんじゃないの?」(どうして信じてくれないの??)
「痛いはずがない」(じゃあ、事故の後で生じた今の痛みは何なの??)
「うちでは診れないので、精神科に言ってください」(私、精神病なんですか......) とかとか。

......以前スポーツでケガをした時や、腰痛とか肩こりなどの症状で病院にかかった時にはちゃんと丁寧に診てくれて治療してもらえたのに、なぜだろう?

......交通事故のケガだとどうして話もろくに聞いてもらえないんだろう?

全国で同じような体験をされた患者さんの声を非常によく耳にします。

交通事故の患者さんに対して、全てとは言いませんが、多くの(整形外科)医師が冷たく当たる傾向があるということはどうも本当のようです。

お恥ずかしいことではありますが、実は私も以前大きな病院に勤務していたとき、自然とそういう態度で診察していたような気がします。

これは一体どういうことなんでしょうか?

私も医師の一人として白状します。

実は医者にとっては、来て欲しい患者さんと、来て欲しくない患者さんがいるんです!!

しかも、来て欲しいか、欲しくないか、は、医師の立場や境遇によってもまた変わってしまうのです。

......続く

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加害者の支払い能力

車を運転する人は大抵、相手方や自分に対しての補償額を設定した損保に入りますね?

みんな怖いですから。

ドライバーは、どちらかと言うと、「加害者になるのが怖い」、という気持ちが強いかもしれません。無保険で加害者になると慰謝料や治療費などが請求されますから、その経済的負担が怖いというのが本音ではないでしょうか。

自動車保険は、加害者となったときに人や物に対して補償をするだけではなく、自分が怪我をしたときの経済的保障もついているのが普通です。それは車を運転していないときの怪我にも適応されます。

しかし、車を運転しない人は、ほとんどの場合は自動車保険に入っていません。

加害者側になる心配はないのですが、交通事故がこれだけ沢山発生しているわけですから、被害者になる可能性は誰にでもあります。

もちろん、歩行者が事故被害に遭えば、治療費等の支払い義務は加害者や加害者側の損保が負担するのが当然です。けれども、そううまく運ばないことが多いのです。

交通事故で、被害者と加害者がいれば、当然加害者側の自動車保険が支払いますが、時に任意保険未加入で自賠責の強制保険しか入っていないドライバーだったりすると、十分に治療費すら払ってもらえないことがあります。加害者本人に直接請求しても、支払い能力がなかったり、弁護士を立ててこられたりして、相当にもめる場合も少なくありません。

加害者側の損害保険会社(損保)の払い渋り

また、最近特に多いのが、加害者側の損害保険会社(損保)の払い渋りです。

ごめんなさい。全ての損保とは言いませんが、治療費の値切りや支払い拒否、治療への難癖、患者さんへの頻繁な治療打ち切り圧力をかけるなどのよからぬ損保が多くなっています。

基本的に治療費を支払いたくないという損保会社の基本姿勢が見え見えです。治療費だけではありません。慰謝料や遺失利益も、全て、極力払いたくないのです。

損保の支払い担当者は払い渋るのが仕事です。治療費を払えば払うほど損ですから。なんだかんだと屁理屈をつけて、被害者の方への支払いを減らしてきます。

色んな理由を述べてきますが、そのほとんどはあまり正当性がありません。ただ「払いたくない」というのが払わない理由です。

大手で資本力があり、経営が比較的安定している損保さんは、基本的には支払いはスムーズです。しかし、経営体力の乏しい比較的小さな損保会社や「○○共済」などの交通事故保険は随分あからさまに支払い拒否や値切りをしてきます。

病院では、患者さんの痛みや苦痛の程度に応じて、時に治療の濃度を濃くする場合も必要となります。その場合、当然治療費も多少上がります。しかし、それは私たち医療側が水増ししているわけではなく、治療上必要に応じて行うものです。

そういう正当な治療上の費用に対して、ただ「払いたくないから払わない」という態度は、ちょっと子供じみています。

そもそも自動車損害保険というのは、保険商品を作った側が「事故のときの補償をします」という仕組みをつくり、契約を交わしたものです。被保険者が要求して契約させたものではないはずです。

損保会社さんは、そこの所に立ち戻って、良心に従って仕事をして欲しいと切に願います。

払い渋りの目立つ損保会社はすぐに噂に上りますから、契約者数が減り、ますます業績が悪くなりますよ。

いざという時の備えは自分で

さて、実際に治療費を十分補償してくれない事態になったらどうでしょう? 実際そういう場面はしばしばあります。

そういう時に、被害者の治療費などを補償してくれる「自分の」保険を使えれば、とりあえず生活ダメージを軽減できます。

私たちは、順調な普段の生活では事故の保険のことを考える機会はありません。大方の場合、事故に遭ったときに初めて保険制度に触れます。その時にできるだけ制度の仕組みをよく知り、うまく利用しないと、相手方損保の言いなりに丸め込まれ、間違いなく損します。そうならないように、事故被害に遭ったら極力、できるだけ早い時期に、事故に詳しい専門家に相談することをお勧めします。具体的には弁護士さん、行政書士さんで、事故の専門を掲げているところがいいでしょう。

それでもどこがよいか分からない場合には、当院にも専門相談員を紹介できる用意をしています。

一人で悩むのは、間違いなく損をします。事故に遭ったら、早めの正しい対応がその後大きく人生を左右します。

続く

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車を信用しないこと。そして、万が一のための備えを。

具体的には、道を歩くときには常に周囲の車などの動きによく気をつけ、危険なときにはとっさに身を交せるように身構えて歩くこと。友人と話に夢中になって道に広がって歩くのは絶対にやめましょう。夜間は黒っぽい服を着て歩くのを避け、反射するものやライトを持ち、できるだけ道の端を歩くこと。自転車走行時にも必ず前と後ろにライトをつけて目立つようにする。

歩行中の事故例をみると、歩行者の飛び出しなどの交通ルール違反は少なく、普通に正しく横断歩道を青で渡っていたときや、道の端の歩道を歩いていたときに、急に出てきた車に当てられた人などが目立ちます。よく警察や学校の先生が言うように、「交通ルールを守ろう」だけでは身を守れないのです。

「歩行者優先なのだから車は止まってくれるはずだ」
「車は自分に気付いているはずだ」
という安易な思い込みは危険です。

ぶつけられて怪我をするのは歩行者です。

事故被害に遭い、法律的に正当性を主張して補償を得るのも大変です。相手の保険は、大抵は失った損害を十分に取り戻すことはできません。事故被害に遭って得することは何もありません。

出かけるときには道路は常に「危険地帯」の認識でいなければなりません。

自動車ドライバーを信用してはいけないのです。

もちろん自動車を運転する人で好きで事故を起こす人はいないでしょうし、交通ルール無視をする無謀ドライバーは一昔前に比べると随分減っているはずです。

しかし、自動車を運転していると、歩行者や自転車は車に比べて小さく目立たないので、時々目に入らないことが確かにあるのです。私も車の運転は20年の経験がありますが、一度、強い雨の夜、運転中に目の前で急に歩行者が横切り、ヒヤッとしたことがあります。危うく人をはねるところでした。

歩行中のあなたは、自動車のドライバーから必ずしも見えているとは限らないことを念頭に置き、危険を避けて歩きましょう。

それから、今回特にお伝えしたい非常に大事なことがあります。

それは、万が一事故被害に遭っても、その後の治療費や働けない分の経済的保障、その他、弁護士費用の補償などを十分に補ってくれるしっかりとした損害保険(損保)に加入しておくことをお勧めします。

保険料の負担は多少ありますが、人生台無しにされるリスクを避けるためには必要です。

続く

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