禁煙には説得や説教ではなく、「治療」が必要です。
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禁煙治療薬として、従来、ニコチンガムやニコチンパッチがありました。これはニコチンの禁断症状を和らげるために少量のニコチンを経口や皮膚から吸収させて、タバコによる気道からのニコチンと置き換えていくというもので、「ニコチン置換療法」と呼ばれます。しかし、これはニコチンを与えていることには変わりなく、禁煙成功率も10%程度と非常に低かったという結果が出ています。
ちなみに、調査の結果、意思の力だけで何も使わずに禁煙に挑戦しても成功率は5%以下でした。
最近、画期的な禁煙治療薬が開発販売されました。
それが、経口剤の禁煙補助薬、「チャンピックス」です。チャンピックスは「飲む禁煙薬」です。
チャンピックスは全く新しい機序で禁煙を助けます。
▼チャンピックスパッケージ
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チャンピックスの物質名は「バレニク潟刀vといいます。
チャンピックスはニコチンではありません。しかし、ニコチンに似た構造を持ち、先に述べた「ニコチン依存ニューロン」のα4β2ニコチン受容体に結合します。
すると、次に述べる二つのはたらきで、タバコが吸いたくなくなります。
1)作動薬作用
チャンピックスはニコチン受容体にくっつくと、ニコチンのときほどではないものの、シナプスの末端から軽度にドパミンを放出させます。正確には、ニコチンが受容体に結合したときの34%程度ドパミンを放出させる刺激を与えます。
したがって、チャンピックスが体内に入ると、ニコチンが少し入ったのと同等の満足感が得られ、ニコチン渇望感が減じます。チャンピックスを飲んでいると、タバコを我慢しやすくなるわけです。
この渇望感を和らげるために、少量のニコチンをガムやパッチで体内に吸収させる方法が、ニコレット(ガム)やニコチネルTTS(パッチ)を用いた従来の方法です。これらの方法は所詮はニコチンそのものを摂取し続けているので、止めるとまたタバコのニコチンが欲しくなるようで、残念ながら禁煙成功率は非常に低くとどまっています。
それに対してチャンピックスはニコチンではないので、ニコチンそのものの体内感覚をなくしつつ渇望感も減らしてくれるので画期的といえます。
2)拮抗薬作用
チャンピックスはニコチンよりも長い時間、受容体に結合しています。
ニコチンはタバコを吸うことで、速やかに血中にから脳に入り、ニコチン受容体に数十秒から数分で結合しますが、結合持続時間は長くありません。
どのくらいの時間、結合し続けられるかというと、ニコチンの受容体結合半減期は1時間。つまり、ニコチンは「ニコチン依存ニューロン」と受容体との結合は1時間で半分が外れ、さらに1時間(つまり初めから2時間)経つと残りの半分がさらに半分に減るので4分の1しか結合していません。3時間経つと残りは8分の1に減りますが、そのくらいになると、もはやドパミン放出は非常に低くなっています。
一方、チャンピックスは受容体との結合半減期は24時間程度。すなわち、半分が外れるのに丸1日かかるのです。
そのため、ニコチン受容体をチャンピックスがニコチンよりも長い時間占拠し続けること可能で、1日2回チャンピックスを飲むことで、ニコチンが受容体に結合できなくすることができます。するとタバコを吸ったときの大量のドパミン放出感を感じることがなくなり、タバコを吸った「実感」がなくなります。
つまり、チャンピックスを飲んでいると、たとえタバコを吸ってしまっても、タバコを吸うことの満足感が得られなくなるのです。
実際、チャンピックスによる禁煙治療体験者からは、
「タバコを吸っても単なる煙を吸っているよう」
「何でこんなもの吸ってたんだろう」
という感想を聞きます。
ニコチン依存細胞の支配から脱却し、タバコの幻想から「目が覚める」感じを体験することでしょう。
チャンピックスは、一つの薬剤有効成分(バレニクリン)が上記の二つの作用、すなわち、作動薬作用と拮抗薬作用を同時に有し、これらが相乗効果をあらわすために、高い禁煙成功率をもたらします。
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◇ニコチンではない。
◇初めての禁煙の飲み薬、錠剤である。
◇チャンピックスの飲み始めの1週間はタバコを吸っていてもよい。
◇保険適応で治療が受けられる。そのため費用は高くない。
◇チャンピックスで保険適応の治療を受けるには、ある程度以上のニコチン依存症状の基準を超えたものに限られる。
◇現在病院での処方のみ、利用可能。
◇3ヶ月間、通院で処方される。
◇副作用は少ない。
◇薬剤開発を評価する学会でも非常に高い評価を得ている(2007年度ガリアン賞[=患者さんに優れた治療効果をもたらすと認められた画期的な医薬品の開発に対し贈られる賞]を受賞)。
◇かつてない高い禁煙成功率を誇る禁煙手段である。
◇薬効として正式に認められていないが、アルコール依存症にもチャンピックスでよい結果が出たとの報告あり。
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心配な副作用ですが、最も多い副作用は、頭痛と吐き気です。しかしこれは強くはなく、水を多く飲んだりすることで収まる例が多いです。
吐き気によって食欲がなくなって困る場合は、食後すぐに飲めば問題ありません。
どうしても吐き気が不快という場合は、病院で処方する吐き気止めを飲めば収まります。
チャンピックスの飲み始めに副作用が出る場合が多いのですが、続けているうちに慣れてきます。
臨床調査によるチャンピックスの主な副作用は次のとおりです。
・吐き気28.5%
・不眠症16.3%
・異常な夢13.0%
・頭痛11.6%
・お腹が張る8.3%
これらは、ニコチンが入らなくなったことによる反動が大きいことと、神経細胞の受容体へのチャンピックスの結合の仕方による刺激がもたらしているものと考えられます。
しかし、我慢できないほどでない限り、続けて服用しているとたいていは慣れます。
体に長期的な害をもたらす障害ではなく、止めれば元に戻ります。
ただし、現在精神病やうつ病で治療中の患者さんは、症状が悪化する恐れがあるので、原則としてチャンピックスの服用はしてはいけません。
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[第1週目]
チャンピックスの飲み始めの3日は0.5mg錠を1日1回、食後に飲みます。
飲む時間は朝・昼・夕のいつでも構いません。
4日目から7日目までは0.5mg錠を、朝・夕食後に2回飲みます。
ここまではタバコを吸っていて構いません。
[第2週目~]
8日目から禁煙します。
この日から、チャンピックス1mg錠を朝・夕の1日2回飲みます。
以後、12週まで継続します。
さらに、必要に応じて、24週まで延長することも可能です。
その間、2週毎に病院に通院し、診察を受けるとともに、呼気中一酸化炭素(CO)濃度測定を受けなければなりません。チャンピックスの処方は1回で14日分までと規定されています。
通院をする意味は、通院し医師と話をして自己申告することと医師側からの励ましやアドバイスを受けることで、禁煙成功率が大きく上がることが統計的にも明らかになっているからです。
▼禁煙治療スケジュール(12週)

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チャンピックスを使用して喫煙者が禁煙した臨床研究の結果、プラセボ群(偽のチャンピックス。薬効なし)が12週の持続成功率39.5%だったのに対して、チャンピックス群(本物の薬)では65.4%が禁煙を維持していました。
これはニコチン依存傾向が強いと判断された喫煙者295人(20歳から75歳)を対象とした統計研究の結果です。
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禁煙補助薬として、ニコチンガム(二コレット)、ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)が既に利用されています。この二つとチャンピックスを比較してみましょう。
~ニコチンガム(二コレット)~
当初、禁煙治療法として期待されましたが、日本では職場などでガムをかみながら仕事することに慣れてないせいか、なかなか続かず、ニコチンガムを利用した禁煙成功率は結局10%にも満たないようです。
~ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)~
欠点としては、張っている場所が痒くなったりかぶれたりしやすいということです。夏場や汗をかく環境では続けることが困難です。持続的にニコチンが吸収されているのでやや離脱症状を抑えられますが、脳が感じるニコチンの満足感に変わるものではないため、かなりイライラは強くなるようで、禁煙成功率はこれもあまり高くはありません。
ニコチンガムよりは成功率は高いようですが、20%前後の禁煙成功率といったところでしょう。
~チャンピックス~
先に述べたように、タバコを吸いたいという禁断症状、つまり離脱症状を抑えると同時に、もし吸ってしまっても満足感が得られずタバコが不味いと感じるので、非常に禁煙成功率が高くなります。3ヶ月間禁煙成功率が65%を越える治療法は、かつて無い画期的な手段です。精神疾患を治療中の方や強いうつ病の方以外には、特に危険な副作用はありません。
費用も健康保険が適応されているので、3ヶ月間で17,000円程度、1ヶ月間では6,000円以下です。普通の喫煙者は、今、1ヶ月に9,000円程度消費していますから、タバコを吸うより安あがりで、しかも3ヶ月間で終了ですから、その後のタバコ代は浮きます。
やや不便な点を挙げれば、扱っている病院を探して受診すること、2週に1回定期的に通院して診察と呼気一酸化炭素濃度を測定することが義務づけられること、くらいです。
でも、それもまた禁煙を持続する励みになり楽しいと考えれば、むしろメリットではないでしょうか?
現時点では、最も確実で最も楽に禁煙できる手段は、間違いなくチャンピックスを用いた禁煙治療です。
本気で取り組みたいなら、チャンピックスを選ぶのがベストです。
禁煙治療にかかる費用≪ニコチンパッチとチャンピックスの比較≫
ニコチンパッチ チャンピックス
費用 自己負担[3割] 費用 自己負担[3割]
初診料+再診料(*1) 7,620円 2,286円 10,080円 3,024円
ニコチン依存症管理料 9,620円 2,886円 9,620円 2,886円
院外処方せん料(*1) 2,040円 612円 0円(*2) 0円(*2)
禁煙補助薬(*3) 20,730円 6,219円 37,660円 11,298円
合計 40,010円 12,003円 57,360円 17,208円
1週あたり(*4) 5,001円 1,500円 4,780円 1,434円
*1禁煙のみを目的に診療所で受診し、禁煙補助薬のみを処方されると仮定。再診料には外来管理加算を含むと仮定。
*2当院は院内で薬をお渡しするため、院外処方せん料は不要。
*3禁煙補助薬を標準的な用法・用量で使用すると仮定。薬剤料のほか調剤料が別に必要。
*4ニコチンパッチは8週、チャンピックスは12週の標準治療期間で算出。小数点以下四捨五入。
禁煙補助薬は決して高価ではありません。成功率の高い禁煙補助薬を利用して禁煙したほうが、結局は時間とお金と健康にとって最も得だと言えます。
ちなみに、禁煙補助薬を使わずに、意思の力だけで禁煙に挑戦した人の成功率は、5%以下のようです。
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タバコの煙中には、有毒ガスであるCO(一酸化炭素)が 20,000 ~ 60,000ppm含まれており、これは自動車の排気ガス中のCO濃度に匹敵するといわれています。一酸化炭素に関して言えば、喫煙者は車のマフラーを咥えて排気ガスを吸っているようなものです。
COが体内に入るとどのような害があるのでしょうか?
COは酸素に比べて200倍以上血液中のヘモグロビン(Hb)とくっつきやすく、吸ったタバコの煙から肺胞の毛細血管中を通った赤血球のヘモグロビンと一瞬で結合して、カルボキシヘモグロビン(COHb)となります。本来は酸素とくっついて運搬するのがヘモグロビンの役割ですが、COは酸素を押しのけてヘモグロビンとくっついてしまうのです。
非喫煙者の抹消血中のCOHbは1~3%前後であるのに対し常習喫煙者では5%以上となり、高い場合は10%近くまで上昇します。
1日20本の喫煙者の呼気中CO濃度は15~25ppmを示すことが多いので、これに相当するCOHbは3.0~4.2%となります。
ヘモグロビンは通常酸素を運びますが、この分有毒ガスであるCOを運んでいるわけですから血中酸素濃度は3~4%低下し、酸素が不足し、当然心臓にも負担がかかるわけです。3~4%の酸素濃度低下は、非喫煙者が2,000m級の山に登ったのと同じくらいのレベルです。
タバコを吸うと、通常は約10%程度運動能力が低下するとも言われています。また、体の中で通常の状態で最も酸素を多く消費する臓器である脳にとっても、当然一酸化炭素の影響で能力が低下します。
チャンピックスを使用した禁煙治療では、呼気一酸化炭素濃度を測定しつつ、禁煙治療がうまく行っているか、経過をチェックすることが規定されています。保険診療を受ける場合は、必ず呼気一酸化炭素濃度を2週ごとに測定し、記録し、医療機関はその記録を管轄保険所に報告しなければなりません。
呼気中一酸化炭素濃度測定器としては、マイクロ・スモーカライザーという機械を使用します。この機械を用いて呼気中に含まれる一酸化炭素を測定することで、その人の喫煙状況を知ることができたり、喫煙者と非喫煙者を識別したりすることができます。
機械についた管に口をつけて息を吐くだけで、一酸化炭素の濃度の他に、カルボキシヘモグロビン(COHb)%が表示されます。この値が低下するごとに、タバコの有毒ガスが体から抜けて行っているわけですから、禁煙治療に励みが出てきます。
測定方法は、大きく息を吸い込んで15秒間息をこらえた後に、マウスピースをくわえてゆっくりと息を吹き込むだけです。
呼気中の一酸化炭素濃度と喫煙状況との関係を調査したところ、次のような関係が認められました。(平均値±標準偏差)
・非喫煙者3.9±1.8ppm
・前喫煙者4.4±2.0ppm
・1~15本喫煙者12.8±4.1ppm
・16~25本喫煙者20.3±5.7ppm
・26本以上喫煙者37.1±10.3ppm
1日10本喫煙で大体10ppm、1日20本喫煙で大体20ppm、がおおよその目安です。
このように非喫煙者と喫煙者では、およそ10ppmの有意差があります。
さあ、一日も早く禁煙治療を始めましょう!
ここまでくればもうお分かりでしょうね。
タバコを吸うことは社会悪であることは明白です。
もう私も議論はしません。
喫煙を止めるには、議論ではなく、治療が必要です。
喫煙は、クセではなく、病気です。しかも死亡率を高める危険な病気です。
迷わず、当院にご相談ください。


































