院長 平竜三のブログ診察室では伝え切れない、詳しい医療情報を語ります

交通事故後の整形外科の選び方 チェックポイントその① 大病院よりも中小規模病院

  • 2018.02.07


1. 主に整形外科を標榜する中小規模病院であること。
(最初から接骨院はダメ! )

■大病院と中小病院の違い

 

入院病床を有する立派な大病院の整形外科では、入院・外来ともに幅広い患者さん層が集まっていますが、主な仕事は『手術的治療』です。


 

大病院は大がかりで難しい高度の手術を多数こなすために、人的資源と設備を集中しています。手術の腕の良い医師を複数抱え、入院病棟、高度な設備等に多額の投資をしていますから、手術をたくさんこなさないと経営が成り立ちません。

 

大病院のリハビリ室はほとんどの場合入院患者さんか手術後患者さんの機能回復専用に使用されていて、外来患者さんは利用できません。

 

つまり、大病院の整形外科は、入院を要する重症患者さんに向けです。

 

したがって、大病院にとってあまり歓迎したくない交通事故患者さんが行っていまうと、自然と冷たく距離を置かれてしまうのは当然です。

 

 

反対に中小規模の整形外科病院は、人的・設備的制約から大きな手術はできませんが、比較的軽症で入院手術を要しない日常よくある疾患を通院治療で治していくことが主たる役割です。

頸椎捻挫、腰部打撲、関節靭帯損傷、軽微な骨折後の拘縮等、交通事故後に生じた慢性症状に対しては、数か月間継続して何度も通院して治療を受けることが必要な場合が多いので、物療・リハビリ施設を有する中小整形外科が適しています。


 

 

中小規模の整形外科は多くは開業医で、外来患者さんが継続的に通院してもらうことが経営の柱になっていますので、交通事故の患者さんが通院しに来ることに対してむしろ歓迎してくれるはずです。患者さんとの距離感も大病院の先生に比べるとずっと近く、比較的話もよく聞いてくれることが多いでしょう。

もちろん開業医でも書類は苦手ではありますが、患者さんとコミュニ―ケーションが良くとれていればあまり嫌がらずに書いてもらえます。

 

 

 

■ 整形外科が専門の医師であること

交通事故後の患者さんが中小規模の整形外科に通う時に注意することがあります。たまに見かけるのですが、患者さん集客のためでしょうか、院長先生一人でたくさんの異なる標榜科を掲げているクリニックがあります。

 

 

例えば、「内科」「外科」「小児科」「皮膚科」「整形外科」・・・などが標榜されていても、医師一人だったりする場合、整形外科はその先生の専門ではない可能性があります。大抵はトップに掲げている科が専門で、その下に繋がる科は少しかじった程度です。

 

 

整形外科という学問は頭部の筋肉から足先まで、非常に広範囲の体の組織を担当する科です。患者層は子供から高齢者までほぼ全て。先天異常・老化変性・外傷・腫瘍など疾患数は膨大で非常に多くの知識を要し、一人前の整形外科医になるには相当の臨床訓練を必要とします。

 

 

交通事故後の診療は特に特殊な知識を要しますから、中小規模病院の中でも担当医の専門が整形外科であることが必須です。複数化が標榜されている場合はトップに整形外科を掲げているクリニックであればまずOKでしょう。

 

 

 

■ 最初から接骨院にはいかないこと

◆接骨院(および整骨院)とは何か?

 

接骨院は柔道整復師法に基づいて国家資格を取得した柔道整復師が開設した医業類似行為です。接骨院で柔道整復師(以下、柔整師)行うサービスは正しくは「施術」と呼び、病院・医院で医師が行う「治療」とは区別されています。

 

 

つまり、
接骨院で行うものは厳密には「治療」ではない
というのが国の立場です。

 

 

それから、当然ですが柔整師は医師ではありせん。
日本国民ならみな知ってはずだと思っているのですが、誤解している人が多すぎるので、ここで知識を確認しましょう。

 

 

柔整師は厚生労働大臣の指定した柔道整復師養成施設(大学ではない)を卒業し、柔道整復師国家試験を受験し合格した者に与えられる国家資格です。近年、柔整師養成学校は乱立激増したこともあり、入学は容易です。3年で全過程を終え、夜学だけのコースもあり、多くの学生は働きながら卒業しています。

 

 

一方、医師の場合、普通科高校卒業後、大学入学試験で医学部あるいは医科大学に入学することが必要です。卒業までに6年間を要し、その間の学習カリキュラムで膨大な知識を詰め込む必要があります。大学医学部内の全ての過程に合格し、卒業試験をクリアした後に、医師国家試験に合格して初めて医師の資格を得ます。医師免許を取ったばかりでは臨床能力はありませんから、その後3年から4年、研修医として厳しい臨床訓練を受けます。

 

 

医師の素質と努力にも寄りますが、医師が一人前になるには一般的に、内科系医師で卒後5、6年、外科系医師で卒後10年、程を要します。

 

 

整形外科医師の場合、大学に入学から一人前になるまでに15年くらいかかるのが普通です。

 

 

別に柔整師の方を批判するわけではありませんが、事実として、柔整師と医師の間にはそれだけ大きなバックグラウンドの差、医学知識の差、臨床経験の差があります。

 

 

柔整師の方もよく勉強し、知識豊富な方いますが、それとは別に柔整師と医師の間にはどうしても法律上の資格と権限の差があります。

 

 

柔整師と医師では多くの点で資格と権限に差が制定されていますが、中でも重要な点は、
柔整師は厳密な意味で診断してはいけない

ということです。

 

実務上、暫定的な診断はして良いことになっていますが、例えば、損保などに正確な診断書を書く資格や権限はありません。

 

 

柔整師は医師ではないので、レントゲンやMRIを撮る指示を出すことはできず、画像を解釈して診断書を記入する資格も厳密にはありません。

 

 

ですが、いまだに交通事故の後に直ぐに接骨院に行き、整形外科はほとんど、あるいはまったく行かずに、そのままずっと接骨院に通っている人がいます。

 

 

これは大変マズイ通い方で、患者さんは後に大変な不利益を得ます。

 

 

「不利益」とはどういうことか、以下に説明します。

 

 

損保に対して強く正確な診断書を書けない接骨院に通っていると、損保はその根拠を否定してしまえば、患者さんは治療を受ける権利も治療費も得られないことになります。

 

 

何か月も接骨院だけ通っていて、後から慌てて整形外科に飛び込んで診断書を書いてもらおうとしても、大抵は医師から
「そんな、何か月も前の事故について、今頃になって診断書を書けと言われても、その時のケガがどうか解らないから書けませんよ。なぜ今まで病院にかからなかったのですか? 」
と言われて断られるのがオチです。

 

 

これは医師が意地悪しているのではなく、正直解らないから書けないのです。患者さん側の通院姿勢と認識の甘さが問題なのです。

 

 

接骨院はどこも経営が大変苦しいので、交通事故後の患者さんを集めて収益を得ようと必死です。ですから、接骨院に事故の患者さんが来るとニコニコして
「是非是非、毎日でもうちに通院して下さい。整形外科なんか行かなくてもうちに通っていれば大丈夫、治してあげます」と強烈に通院を勧める所もあります。

 

 

極端な例では
「毎日通ってくれれば、最後にお礼金□□万円を差し上げます」、という接骨院も実在します。

 

 

そういう甘言に釣られて接骨院ばかりに通っていると、損保からイキナリ治療費打ち切りにされたり、後遺障害等級申請が必要になった時に書いてもらえる整形外科医が居なかったり、と、結局のところ大きな損失をします。

 

 

ここでいう損失は、
① 症状が改善しないまま放り出されるという身体的損失
② 補償の金額が得られないという経済的損失

の二つです。

 

後々の損失を減らすために、接骨院通院は上手に通うことが必要です。

 

 

 

■ 交通事故後の上手な接骨院の通い方

詳しくはまた別の記事で説明しますが、大まかに言うと

❖ 整形外科の通院を主(メイン)にする。

 

(以下、接骨院も併用希望する場合)
❖ 接骨院通院は整形外科の担当医の許可を得て、あくまで副(サブ)として位置付ける。

 

❖ 接骨院の通院頻度は週に1、2日までにコントロールする。

 

 ※交通事故で人身傷害に遭ったら整形外科医院に通っているべき最大の理由 :
正確な診断書を発行してもらい、自分の権利を守るため

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