運転しなくても自分を補償する保険に入るべき理由
- 2009.04.07
加害者の支払い能力
車を運転する人は大抵、相手方や自分に対しての補償額を設定した損保に入りますね?
みんな怖いですから。
ドライバーは、どちらかと言うと、「加害者になるのが怖い」、という気持ちが強いかもしれません。無保険で加害者になると慰謝料や治療費などが請求されますから、その経済的負担が怖いというのが本音ではないでしょうか。
自動車保険は、加害者となったときに人や物に対して補償をするだけではなく、自分が怪我をしたときの経済的保障もついているのが普通です。それは車を運転していないときの怪我にも適応されます。
しかし、車を運転しない人は、ほとんどの場合は自動車保険に入っていません。
加害者側になる心配はないのですが、交通事故がこれだけ沢山発生しているわけですから、被害者になる可能性は誰にでもあります。
もちろん、歩行者が事故被害に遭えば、治療費等の支払い義務は加害者や加害者側の損保が負担するのが当然です。けれども、そううまく運ばないことが多いのです。
交通事故で、被害者と加害者がいれば、当然加害者側の自動車保険が支払いますが、時に任意保険未加入で自賠責の強制保険しか入っていないドライバーだったりすると、十分に治療費すら払ってもらえないことがあります。加害者本人に直接請求しても、支払い能力がなかったり、弁護士を立ててこられたりして、相当にもめる場合も少なくありません。
加害者側の損害保険会社(損保)の払い渋り
また、最近特に多いのが、加害者側の損害保険会社(損保)の払い渋りです。
ごめんなさい。全ての損保とは言いませんが、治療費の値切りや支払い拒否、治療への難癖、患者さんへの頻繁な治療打ち切り圧力をかけるなどのよからぬ損保が多くなっています。
基本的に治療費を支払いたくないという損保会社の基本姿勢が見え見えです。治療費だけではありません。慰謝料や遺失利益も、全て、極力払いたくないのです。
損保の支払い担当者は払い渋るのが仕事です。治療費を払えば払うほど損ですから。なんだかんだと屁理屈をつけて、被害者の方への支払いを減らしてきます。
色んな理由を述べてきますが、そのほとんどはあまり正当性がありません。ただ「払いたくない」というのが払わない理由です。
大手で資本力があり、経営が比較的安定している損保さんは、基本的には支払いはスムーズです。しかし、経営体力の乏しい比較的小さな損保会社や「○○共済」などの交通事故保険は随分あからさまに支払い拒否や値切りをしてきます。
病院では、患者さんの痛みや苦痛の程度に応じて、時に治療の濃度を濃くする場合も必要となります。その場合、当然治療費も多少上がります。しかし、それは私たち医療側が水増ししているわけではなく、治療上必要に応じて行うものです。
そういう正当な治療上の費用に対して、ただ「払いたくないから払わない」という態度は、ちょっと子供じみています。
そもそも自動車損害保険というのは、保険商品を作った側が「事故のときの補償をします」という仕組みをつくり、契約を交わしたものです。被保険者が要求して契約させたものではないはずです。
損保会社さんは、そこの所に立ち戻って、良心に従って仕事をして欲しいと切に願います。
払い渋りの目立つ損保会社はすぐに噂に上りますから、契約者数が減り、ますます業績が悪くなりますよ。
いざという時の備えは自分で
さて、実際に治療費を十分補償してくれない事態になったらどうでしょう? 実際そういう場面はしばしばあります。
そういう時に、被害者の治療費などを補償してくれる「自分の」保険を使えれば、とりあえず生活ダメージを軽減できます。
私たちは、順調な普段の生活では事故の保険のことを考える機会はありません。大方の場合、事故に遭ったときに初めて保険制度に触れます。その時にできるだけ制度の仕組みをよく知り、うまく利用しないと、相手方損保の言いなりに丸め込まれ、間違いなく損します。そうならないように、事故被害に遭ったら極力、できるだけ早い時期に、事故に詳しい専門家に相談することをお勧めします。具体的には弁護士さん、行政書士さんで、事故の専門を掲げているところがいいでしょう。
それでもどこがよいか分からない場合には、当院にも専門相談員を紹介できる用意をしています。
一人で悩むのは、間違いなく損をします。事故に遭ったら、早めの正しい対応がその後大きく人生を左右します。
……続く