院長 平竜三のブログ診察室では伝え切れない、詳しい医療情報を語ります

日本の医師の喫煙

  • 2008.12.27

 今まで何度も述べましたが、一人一人の健康のためにも、医療費の削減のためにも、国全体の経済的利益のためにも喫煙率を減らすことは正しい道だといえます。

 喫煙率を減らすには、喫煙者を禁煙させることはもちろん、若い世代の非喫煙者が新たに喫煙習慣を身につけないようにすることです。前回も述べたように、若い世代は周囲の人々、既に吸っている大人の影響を受けてタバコに大人っぽさやかっこよさをイメージし、大人たちを手本として吸い始めることが多いのです。

 ですから、特に社会的に影響力を持ちリーダー的立場の大人たちがタバコを吸わず、毅然としてタバコを否定する姿勢をとることが大切です。

 では一般的に人々の注目を集める職業や立場の人々とはどのような人かというと、とりあえず教師・医師・弁護士・政治家・経営者・重役などではないでしょうか?

 私も医師なので、とりあえず医師と喫煙について考えてみます。

 
 日本医師会が2004年の2~7月にアンケートをとった3633件の回答を調査したところ、日本の医師の喫煙率は、男性医師21.5%、女性医師5.4%でした。2000年の調査時には、男性医師27.1%、女性医師6.8%だったので、この4年間で減少傾向にあります。また、日本人全体の喫煙率は、男性は約40%、女性は約12%ですから、医師の喫煙率は一般人口の約半分というところです。

 
 けれども、他の先進国と比べると随分ひどいです。

 例えば、スウェーデンの医師の喫煙率は6%、アメリカは3%、イギリスではなんとたったの2%という低率です。これらの国々では医師がタバコを吸わないのが当たり前。日本の医師の喫煙率の高さは突出しており、健康を守り、人々に手本を示すべき職業として恥ずべき数字です。

 
 私も学会や医師の集まりなどに行くと、かなりの数の医師がタバコを吸っており、煙くてたまりません。国際学会では海外のドクターも多数参加するわけですが、喫煙スペースに集まっているのは殆ど日本人医師で、それを見て海外の先生方は日本人医師の禁煙意識の低さに唖然としています。医師としてのライフスタイルが海外の医師から軽蔑されかねません。

 
 「医師の基本は、健康的な生き方を患者さんに示すロールモデル(手本)となることです。その中で禁煙はよい生活習慣の大切な要素となります。」

 聖路加国際病院理事長で、90歳を超えて現役医師としてご活躍されている、日野原重明先生は紙面でそのように語っています。

 喫煙に対して、「自分は患者の治療をするのが仕事。自分は医師だから、関係ない。自分は自分で責任を取るからいい。」のような態度の医師も中にはいます。でも自分がタバコ臭を匂わせながら患者さんに「禁煙しなさい」といっても説得力ありますか? ありません……。

 
 どうも今までの医師は、医学教育の中でもそうでしたが、ひたすら「職人」としての医学・医療技術を教育されてきています。でもこれから予防医学に重点がおかれる社会では、医師は「教育者」「リーダー」としての手本を示す役割があります。以前はよく「医者の不養生」など、「反面教師」的なイメージがありましたが、これからは多忙でも健康長寿を身をもって示し、自分をアンチエイジングの実験台として努力すべきではないでしょうか?

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